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【完全理解】プランジャーポンプの構造とその特徴とは

【完全理解】プランジャーポンプの構造とその特徴とは

ひとくちにポンプといっても、用途や構造により数多くの種類があります。

今回は多種多様なポンプの中で吐出機器や充填機器で使用される

「プランジャーポンプ」について、その定義や特徴について解説いたします。



ポンプの種類は大きく分けて2分類

ポンプは、大きく以下の2種類に分類されます。

◎容積式ポンプ

一定の空間内にある液を往復運動または回転運動にて容積変化させ、液体にエネルギーを与えて移送する機械のことです。プランジャーポンプの他、ピストンポンプ、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプなど多様な種類があり、使用する液体や用途に応じて選定が必要です。

◎非容積式ポンプ

ポンプ内部にある扇風機のような羽根を回して、連続的に流体を送るポンプを「非容積式ポンプ」または「ターボポンプ」と呼びます。渦巻きポンプ、斜流ポンプなどがあります。効率が高く、連続的に大量の液体を送る能力に優れます。

プランジャーポンプの定義・説明

種類としては「容積式ポンプ」に該当するプランジャーポンプは、「プランジャ」と呼ばれる円筒状のピストンが、ポンプ筐体内を往復運動することで生じる容積変化を利用して、吸込みから吐出までを行う機械のことです。

プランジャーポンプの吐出量はプランジャ径とプランジャの移動距離で決まります。ピストンの往復運動で吸込みと吐出を繰り返すので、連続的ではなく間欠的な流れになります。 

作動原理上、吐出量の正確な調整が可能で、高い精度を求める場面で力を発揮するポンプです。空気圧で吐出量を調整する加圧式吐出装置(エア式ディスペンサ)と比べ、液体の温度や粘度変化が生じた場合でも安定した定量性を保つことができます。

プランジャーポンプの原理・構造

一般的なポンプと同じく、“吸込み”→“吐出”の過程を繰り返すことで液体を移送します。原理としては、まさに注射器と同じような動作で可動部を直線往復させることで液体や気体の吸込み・吐出を行います。

プランジャーの往復運動イメージ

液体の粘度別による動作方式の違い

ハイバーポンプの構造を基に動作方式を見てみましょう。

CV<チェックバルブ>・・・低粘度(1~5,000CPS)向き

  • ①プランジャーが後退することにより計量室内に負圧が生じ、IN側のチェックバルブが開いて、材料が計量室内に吸引されます。
    この際OUT側のチェックバルブはスプリング圧によって閉じています。
  1. ②吸引された材料はマイクロメータで設定されたストロークまで計量され、次にプランジャーが前進して計量室内にある材料を押し出します。
    この場合、IN側のチェックバルブは閉じ、OUT側のチェックバルブが開き、ノズルから吐出されます。

チェックバルブ方式の動作イメージ

マイクロメーター

RV<ロータリーバルブ> ・・・高粘度(5,000~50,000CPS)向き

①基本的にはCVタイプと同じですが、吸引/吐出の切換部がロータリーバルブになっており、アクチュエータによりプランジャーの動きと同期して回転し、計量の場合はIN側と計量室がつながり、材料が吸引されます。

②吐出時にはプランジャーが前進するタイミングにあわせ、ロータリーバルブが回転し、OUT側と計量室がつながり材料が吐出されます。

※RVタイプは高粘度材料に使用するため、材料のIN/OUTの位置がCV タイプとは逆になっています。

ロータリーバルブ方式の動作イメージ

ロータリーバルブ

このようにポンプ内の計量室内に決められた容積分の液体が吸い込まれ、その容積分を単純に排出する仕組みであることがわかりましたでしょうか?

プランジャーポンプのまとめ

  • ・連続式のポンプではなく、プランジャ(ピストン)が吸引・排出を繰り返す間欠式のポンプ
  • ・吐出量の設定は計量室内の容積を決めることで設定
  • ・吐出速度スピードのプランジャ(ピストン)の吸引・排出のスピードで設定
  • ・粘度変化に対する吐出精度の変動が起こりにくい構造原理の為、繰り返し精度が安定している

ユニコントロールズが手掛けるプランジャーポンプ

  • ・プランジャーポンプのグローバルスタンダード 「ハイバーポンプ」
  • ・より微少量な精密吐出を求める場合は「ミニプランジャーポンプ PM500シリーズ」

「ハイバーポンプ」の特徴

ハイバーポンプは、プランジャーポンプ(容積計量型ポンプ)のパイオニアとして、世界50ヶ国以上の国々で精密計量の用途に使用されています。

電池業界では電解液注入用としては、世界中の電池メーカーで使用されています。

また、電池業界以外にも食品・化粧品・医薬品・洗剤などの家庭用品の製造工程にも幅広く使用されています。

Q. 吐出量を正確に出したいけど吐出精度はどのくらい?

A. 計量誤差1%以内の、高精度の吐出が可能です

  • ①Bシリーズ…±0.5%(1BC5Mを使用して0.5cc吐出の場合)
  • ②Hシリーズ…±1%以上
  • ※使用する液体により、変化します。

Q. 吐出容量は何ccまで対応してるの?

A. 最大2,000ccまで吐出できるラインナップもあります

  • ①Bシリーズ(小容量サイズ)…~20cc
  • ②Hシリーズ(大容量サイズ)…~2,000cc

Q. 液体の粘度はどのくらいまで対応してる?

A. 液体の粘度に応じて2種類の方式を用意しています。

  • ①低粘度(1~5,000CPS)…CV(チェックバルブ)シリーズ
  • ②低粘度(5,000~50,000CPS)…RV(ロータリーバルブ)シリーズ

Q. 駆動方式の駆動源は?

A. 使用目的に応じて2種類の駆動タイプから選べます。

  • ①エアー駆動タイプ
    吐出量をマイクロメーター、吐出・吸引速度を空気流量で設定します
  • ②モーター駆動タイプ
    吐出量と吐出・吸引速度をパソコンから数値入力で設定します。

エアー駆動タイプとモーター駆動タイプの比較

駆動方式

エアー駆動タイプ

モーター駆動タイプ

吐出量の変更

頻繁な変更をしない場合に
適する

PCからの数値入力で簡単に変更可

吐出速度の変更

頻繁な変更をしない場合に
適する

PCからの数値入力で簡単に変更可

防爆環境での使用

モーター部エアーパージであれば対応可能

価格

どのような液体や用途で使われるのか?

  • ・食品油や食品材料(スープ、ケチャップ、クリーム、ソース、シロップなど)
  • ・化粧品(化粧水、乳液、クリームなど)
  • ・薬液/試薬(アルコール類、インク
  • ・電解液(各種電池の電解液、アルカリ電池のゲルなど)
  • ・トイレタリー(シャンプー・リンス・コンディショナーなど)
  • ・添加剤や香料などの調合する液体

※以上は代表例の紹介です。上記以外でも対応可能ですのでご相談ください。

卓上ロボットとハイバーポンプの構成例

構造上、苦手な液体

  • ・目安としてシリコン系やシアノ系などの急速硬化性のある接着剤
  • ・硬い固形物や繊維質入りの液体
  • ・固形に近い流動性のない液体

その他、溶剤用や液ダレ防止のオプション品が御座いますので

ご興味がありましたら下記をクリックしてください。

「ミニプランジャーポンプPM500シリーズ」の特徴

  • ・液体の微少量吐出を目的とした極めて高精度なプランジャーポンプです。
    最小吐出量0.0005cc~最大吐出量1.13ccと、微少量専用のコンパクトな仕様になっています。
    ハイバーポンプと同じく、駆動方式はエアー駆動とモーター駆動を準備
    水程度の低粘度からグリスのような高粘度のものまで幅広い導入実績があります。
    コンパクトなサイズゆえに、生産ラインの微少量吐出機器として最適です。

PM500(エア駆動)画像

PM500シリーズ、概略図

PM500シリーズは6種類のヘッドより、ご希望の吐出量によって選定します。

  • ・PM501 最小吐出量 0.0005cc ~ 最大吐出量 0.01cc 
  • ・PM502 最小吐出量 0.003cc ~ 最大吐出量 0.03cc
  • ・PM504 最小吐出量 0.013cc ~ 最大吐出量 0.13cc
  • ・PM508 最小吐出量 0.05cc ~  最大吐出量 0.5cc
  • ・PM510 最小吐出量 0.08cc ~  最大吐出量 0.79cc
  • ・PM512 最小吐出量 0.113cc ~ 最大吐出量 1.13cc

※吐出精度は各サイズ共通で、±2%以内(フルストローク時)になります。

用途例

シリコンオイル、グリス、一液性エポキシ、UV接着剤、溶剤、化粧品など

他にも加圧タンクや周辺機器もセットで提案しております。

デモ機も準備しておりますのでご用命ください。

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